大臀筋を意識しやすくするトレーニングの流れ

パーソナルトレーナーの小林素明です。
下半身のトレーニングを行っているのに、
- 腰部ばかり疲労する
- 大腿四頭筋の負担が強い
- 大臀筋に刺激が入らない
こういった状態になる方は少なくありません。
特に50代以上の方や、運動経験が少ない方では、大臀筋をうまく使えないまま動作を続けているケースがあります。
その状態でスクワットや階段動作、歩行練習を行うと、フォームが崩れやすくなり、腰や膝への負担にもつながります。
そのため僕のレッスンでは、いきなり大きな動作を行うのではなく、
「まず大臀筋を感じてもらう」
ところからスタートすることが多いです。
今回は、僕がパーソナルトレーニング指導の現場で行っている、自重トレーニングの組み立て方をご紹介します。
大臀筋が働かないと起こりやすいこと

大臀筋は、股関節を支える重要な筋肉です。
歩行、階段、立ち上がり、スポーツ動作など、ほとんどの下半身動作に関わっています。
しかし、この筋肉がうまく働かないと、
- 反り腰姿勢になる
- 片脚立ちで不安定になる
- 膝が内側へ入りやすくなる
- 腰部に力が入りやすくなる
といった状態が起こります。
そのため、下半身トレーニングでは「筋力」だけでなく、“どこを使って動くか”を作ることが大切になります。
大臀筋トレーニングの代名詞「ヒップスラスト」は正解か?

大臀筋のトレーニングとして、定番種目になっているのがヒップスラストです。
- ベンチに肩甲骨付近を乗せる
- 両足を床につける
- 臀部を持ち上げる
シンプルな動作ですが、大臀筋へ刺激を入れやすく、下半身トレーニングでは非常に優れた種目です。
実際、僕自身もレッスンで頻繁に取り入れています。
ただ、ここで大切なのは、
「ヒップスラストを行っている=大臀筋が使えている」
とは限らないことです。
運動経験の少ない方は注意が必要です
特に、運動経験が少ない方や中高年の方では、
- 腰部(脊柱起立筋)に力が入りやすい
- 大腿四頭筋の負担が強くなる
- 動作だけが大きくなる
- 大臀筋の感覚が分かりにくい
こういった状態がよく見られます。
すると、本来狙いたい大臀筋よりも、別の部位で動作を代償してしまいます。
そのため僕は、いきなりヒップスラストへ入るのではなく、まずは大臀筋への感覚を整理する種目を入れることがあります。
その導入として使いやすいのが、ブリッジ運動です。動きを小さくシンプルにすることで、
「どこに刺激を入れたいのか」
を感じ取りやすくなるからです。
まずはブリッジ運動で感覚を入れる


僕が大臀筋を意識してもらうトレーニングの1つが、ブリッジ運動です。
方法
- 40〜45cm程度のベンチに仰向けになる
- 足は20cmほどの台に乗せる
- 膝は90度前後に調整
- 腹部に軽く力を入れたまま、臀部を上下に動かす
このとき、足裏が台から離れないようにします。
動きは大きくありません。
5〜10cm程度の小さな動きで十分です。
むしろ、大きく動かそうとすると、脊柱起立筋やハムストリングスに力が入り代償動作が起こります。
パーソナル指導で見ているポイント
この種目では、「どれだけ高く上がるか」よりも、「どこに刺激が入っているか」を見ています。
僕は動作中、腹部に軽く力を入れてもらいながら、大臀筋に触れて確認してます。
そうすると、お客さんは「お尻に効いている」という感覚が出やすくなります。
この“感覚作り”が、その後の動作につながっていきます。
大切なことは、フォームはもちろんのこと、お客さんご自身が大臀筋に効いていることを自覚してもらうことです。
そのためには、「ここに効いているのが分かりますか?」という声がけを行い、コミュニケーションを図ることが必要です。
次に立位動作へつなげる


大臀筋への刺激が入るようになると、次は立位で保持させます。
ここで僕がパーソナル指導でよく行うのが、変形ニーアップです。通常の腿上げではなく、床から約40cmほど高い位置からスタートします。
実際の指導では、40センチのバランスボールを使い、足を完全には接地させない状態を作っています。
変形ニーアップの方法
- 両手を腰に当てる
- 片脚を持ち上げて保持
- 持ち上げた足の下にバランスボールを置く
- 台もしくはボールに軽く触れながらニーアップを繰り返す
回数の目安:15〜20回
この方法では、
- 腸腰筋
- 大臀筋
- 体幹部
を同時に使いやすくなります。大臀筋は支持脚側で活動しています。
変形ニーアップの注意点


大臀筋がうまく働かない方は、
- 動作中に腰を反りやすくなる
- 膝の屈曲が起こる(骨盤後傾)
と、代償動作が起こりやすくなります。
そのため、姿勢の変化をよく観察し、フォームの修正を促す必要があります。
トレーニングは“流れ”で考える
トレーニング指導では、種目そのものよりも、「どうつなげるか」が重要です。
今回は大臀筋を例に上げましたが、
ブリッジ運動で感覚を入れる
↓
立位で保持する
↓
下半身動作へ移行する
という流れで組み立てることが多くあります。
こうすることで、「お尻を使う感覚」を持ったまま、動作へつなげやすくなります。
自重トレーニングで大切なこと

自重トレーニングは、トレーニング器具が少なくても行えます。
ただ、単純に回数を増やすだけでは、狙った部位を使えないまま終わってしまうことがあります。
大切なのは、
- どの順番で行うか
- どの感覚を作るか
- 次の動作へどうつなげるか
です。
同じ種目でも、組み立て方によって身体の反応は大きく変わります。
そして、この組み立ての根底にあるのは、「どんな動きを高めたいのか」という視点です。
たとえば、股関節や膝への負担を減らし、疲れにくい身体を目指すのであれば、歩行フォームの安定は欠かせません。
そのためには、股関節周囲の大臀筋や中臀筋、体幹部を強化するだけでなく、それぞれが動作の中で連携できるように進めていく必要があります。
単に「大臀筋を鍛える種目」で終わるのではなく、
感覚を入れる
↓
姿勢を安定させる
↓
動作へつなげる
という流れを作ることで、実際の歩行や階段動作、スポーツ動作へ結びつきやすくなります。
トレーニングは、種目そのものだけでなく、「どうつなげるか」で変わります。
こうした「動きにつなげるための組み立て方」も、自重トレーニング指導者養成講座で実践形式にてお伝えしています。
この記事を書いた人


小林素明 (パーソナルトレーナー)
テレビ番組「ちちんぷいぷい」「大阪ほんわかテレビ」「ten」などに多数出演し、メディアからも注目されるパーソナルトレーナー。30年以上の指導経験と健康運動指導士の資格を有し、1万レッスンを超えるパーソナルトレーニング指導の実績。特に40代からシニア世代向けの「加齢に負けない」トレーニングに定評があり、親切で丁寧な指導が評価されている。
医療機関との連携を通じて、安全で効果的なトレーニング法を研究し、病院や企業での腰痛予防に関する講演では受講者の98%から「分かりやすかった」と高評価を得る。また、パーソナルトレーナー養成講座の講師としても豊富な実績を誇り、多くのトレーナーの育成に貢献しています。
