米国国家資格のプロトレーナーが語る!アスレティックトレーナーになるために必要なこととは?

米国のトレーナー国家資格である「全米アスレティックトレーナーズ協会公認アスレティックトレーナー(NATA/ATC)」を保有する川西弘晃氏。プロのアスレティックトレーナーとして必要な知識、アスリートの信頼を得るために大切なことなどを話してもらいました。
全米アスレティックトレーナーズ協会公認アスレティックトレーナー(NATA/ATC)とは?

全米アスレティックトレーナーズ協会公認アスレティックトレーナーとは、アメリカでアスレティックトレーナーの仕事を得るために必要な国家資格。具体的には、多くのプロスポーツのアスレティックトレーナーになるには、NATA/ATCの資格が要件になっている。
競技中の怪我から復帰までをサポートするアスレティックトレーナー

日本でも有名なバスケットボールのNBA、メジャーリーグ(野球)、アメリカンフットボールのNFL。すべてのチームに、公認のアスレティックトレーナーがいます。
アスレティックトレーナーに求められるものは多岐にわたります。一例を挙げると、日本のプロ野球で、打者がデッドボールになると、トレーナーが出てきて様子を見ていると思います。そのときに、救急車が必要か? 安静にしなければいけないか? 処置をしてこのまま塁に出ることができるか? などを瞬時に判断するのは、アスレティックトレーナーの仕事です。
試合中は、スピード感が求められますので、知識をたくさん持っていても、経験がないとトレーナーとしての役割をこなすことができません。そのため、アスレティックトレーナーは現場の経験値を高めておく必要があります。
私がいたアメリカの大学では、毎日のようにプロのアスレティックトレーナーのもとで、スポーツ現場でトレーナーの経験を積むことができました。時間数にすると、1000時間は十分に超えています。日本の場合、大学や専門学校であっても、そこまでの経験を積むことはかなり難しい現状です。
スポーツ選手、アスリートの怪我からの復帰、怪我の予防に必要なことは段階的プログラム

アスレティックトレーナーは、選手の怪我からの復帰(リハビリ)、怪我を予防するためのコンディショニングを提供することが必要です。
書籍やインターネットなどで、腰痛には●●トレーニングとか、●●を使えば良くなる、という情報があります。確かに一理はありますが、しかしスポーツ選手にはほぼ当てはまりません。なぜならば、一時的に良くなることが目的ではなく、競技復帰できるための柔軟性、筋力、パワー、敏捷性などの体力を戻す、もしくは今まで以上の体力アップが必要不可欠だからです。
通り一遍のマッサージやトレーニングで実現することは不可能で、少なくとも3ヶ月以上(数年かかる場合もある)の段階的なトレーニングプログラムで、体の状態を見ながらステップアップする必要があります。
医師の診断から始まり、怪我の状態から段階的なプログラムを考えることが、アスレティックトレーナーとして大きな仕事になります。そのため、たくさんのスポーツコンディショニングのためのトレーニング種目を知っておく必要があります。トレーナーは自分でもトレーニングしておくと、選手に伝えやすいです。
プロバスケットボールBリーグ プロスポーツの現場

プロバスケットボール「Bリーグ」のチームトレーナーとして仕事をしていました。プロ野球と同じく、プロバスケットボールにも外国人選手がいます。そのため、日本のプロチームであってもアスレティックトレーナーは、英語の語学力は必要です。その語学力とは、日常会話はもちろんのこと、怪我の具合、トレーニング内容を伝える、テーピングの圧迫具合などを選手とコミュニケーションできるようになることです。
プロ選手は、フルタイムで競技をしているので、怪我で試合を離脱することは失業につながります。選手は、常にベストの状態を保ちたい!という気持ちが強く、アスレティックトレーナーへのリクエストも細かいことが多いです。
テーピングでも、動けるようにしてほしいが、固定もしっかりしてほしい。と、一見両極端に聞こえます、そんな要望に応えていました。また、いつもと違う筋肉の違和感があると、「この筋肉を伸ばすストレッチをしてほしい」というリクエストはよくあります。
このことはプロでなくても、アマの選手でも起こりうることですので、テーピング、スポーツマッサージ、ペアストレッチ、PNFストレッチは身につけておくスキルです。
アスレティックトレーナーとして飛躍するためには

先ほどまで、トレーナーとしての知識、技術を話しました。しかし、これだけではアスレティックトレーナーとして飛躍することはできません。なぜならば、トレーナーは選手からの信頼がないと、コミュニケーションが図れないからです。具体的には、「●●トレーナーがいるから安心」という信頼関係です。
選手からの信頼を得るためには、トレーナーとしての知識や経験以外の社会経験を積み、選手の気持ちを汲み取る包容力を備えることが大切になります。
アスレティックトレーナーを基礎から学ぶ

現在、アスレティックトレーナーの知識を学ぶ方法は、アメリカのNATA認定校で学ぶことや、日本の大学、専門学校があります。先ほども言いましたように、アスレティックトレーナーは現場実習を積むことが最も技術が吸収できます。そうなると、どうしてもアメリカのNATAの資格となります。
もし、段階的なスポーツコンディショニングを学びたいという場合、大阪でアスレティックトレーナー川西弘晃 直伝のコンディショニング講座をマンツーマンで受講できます。よろしければ、こちらもご検討くださいませ。
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この記事を書いた人


小林素明 (パーソナルトレーナー)
テレビ番組「ちちんぷいぷい」「大阪ほんわかテレビ」「ten」などに多数出演し、メディアからも注目されるパーソナルトレーナー。30年以上の指導経験と健康運動指導士の資格を有し、1万レッスンを超えるパーソナルトレーニング指導の実績。特に40代からシニア世代向けの「加齢に負けない」トレーニングに定評があり、親切で丁寧な指導が評価されている。
医療機関との連携を通じて、安全で効果的なトレーニング法を研究し、病院や企業での腰痛予防に関する講演では受講者の98%から「分かりやすかった」と高評価を得る。また、パーソナルトレーナー養成講座の講師としても豊富な実績を誇り、多くのトレーナーの育成に貢献しています。