フィットネスジム集客のヒント|意外と知られていない運営の実態

パーソナルトレーナーの小林素明です。
集客活動をしていると、思わぬところで顧客とのミスマッチが起きることがあります。
特にフィットネスジムは、実際に体験してみないと分からない部分が多く、想像と現実のギャップが生まれやすい業界です。
たとえば、
「トレーナーがしっかり教えてくれると書いてあったのに、説明がほとんどなかった」と、そんな声を耳にすることも少なくありません。
この“ミスマッチ”は、顧客満足度を下げるだけでなく、口コミやリピートにも影響します。そこで今回は、最近のフィットネス業界の動きから見えてきた、ジム経営に役立つヒントをお届けします。
無人ジムから見える“誤解”とチャンス

以前、知人やお客さんの数名からこんな質問を受けました。「チョコザップって、どんなふうに指導してくれるの?」
これは、チョコザップのテレビCMが盛んだった頃です。
僕は驚きつつも、こう答えました。「チョコザップは、24時間営業の無人ジムですよ。動画を見ながら自分でトレーニングできます。」
多くの人は、「え〜、みんな自分で運動してるのかぁ〜、だからあの価格なのね。」「近所にあったのに残念。」という反応をします。
広告を見て「教えてもらえるかも?」と期待していたのです。私たちの業界では当たり前のことも、一般の人には伝わっていない。
ここに、実はチャンスがあります。
つまり「指導してもらえる」「フォームを見てもらえる」「質問できる」という価値を、分かりやすく打ち出すだけで、差別化が可能です。
無人ジムの低価格に魅力を感じていた層も、「サポートがあるならこちらの方が安心」と思うかもしれません。
誤解は放置すると機会損失ですが、上手に伝えればそのまま“選ばれる理由”になるのです。
一緒に読んでおきたいおすすめ記事
自分のジムでもあった勘違い
10年ほど前までは、年間で数名こんなお客さんがいました。
「えっ? 筋トレマシンがないんですか? どうやって鍛えるんですか?」
当時はまだ、「筋トレ=マシン」という認識が強かった時代です。
僕のジム(どこでもフィット)では、トレーニングマシンは1台もなく、自重トレーニングのみで指導をしています。そのことが理解されない時期がありました。
今ではこうした問い合わせはありませんが、「以前の認識」が今もお客さんの頭に残っている可能性はあります。
見込み客は必要な部分しか見ない

当時の僕はこう思っていました。「ホームページにマシンを使わないと書いてるし、写真も載せてるのに…」
しかし、ユーザーは自分が知りたい部分しか見ません。
例えばフィットネスジムをWebで検索すると、トップページにあるメインビジュアルに書かれた「入会金無料」「月会費50%OFF」などの文字が真っ先に目に入ります。
その結果、指導内容よりも「安い」という印象だけが残ってしまうこともあります。
大切なことを一番はじめに伝える ― 印象操作は最初の3秒で決まる

価格の安さを売りにする場合は別ですが、もしあなたのジムが「丁寧なトレーニング指導」や「専門性」を強みにしているなら、価格やキャンペーン情報よりも上に、それらをしっかり配置しましょう。
なぜなら、ユーザーは最初に見た内容が強く記憶に残るからです。
人はページを最初から最後までじっくり読むとは限らず、冒頭の数行や最初に目に入る見出しで「行く・行かない」を決めてしまいます。
たとえば、同じジムでも…
- ジムA: 今なら入会金無料!月会費は2ヶ月半額!プライベートロッカー1ヶ月無料!
- ジムB: 創業20年、これまでに1万人以上が成果を出した専門トレーニングジム
どちらも魅力的な情報ですが、書き出しが違うだけで、受ける印象はまったく異なります。ジムAは「安さが売り」という印象になり、ジムBは「信頼と実績」が際立ちます。
ここに集客のポイントがあります。
多くのジムが価格を前面に出す中で、あえて「成果」「サポート体制」「専門性」といった価値を先に伝えることで、価格競争に巻き込まれずに差別化できます。
これは本のタイトルと同じです。タイトルが心をつかめば、中身を読みたくなる。逆に、タイトルで響かなければページを開くことすらされません。
あなたのジムのホームページやチラシを見返してみてください。
「一番伝えたいこと」が本当に最初に来ていますか? もしそうでなければ、配置を変えるだけで反応率が変わる可能性があります。
一緒に読んでおきたいおすすめ記事
どこでもフィットではどうしているの?

僕のジム「どこでもフィット(大阪市阿倍野区)」の周りにも、多くの競合店があります。
パーソナルジム、24時間ジム、大手チェーン、女性専用ジム…選択肢はいくらでもある中で、ホームページに訪れた方が「お、ここはちょっと違うぞ」と感じてもらえるよう、見せ方に工夫を凝らしています。
まず、どこでもフィットはトレーナーが僕ひとり。だからこそ、小林素明という「人」の経歴や経験、指導実績を前面に押し出しています。
匿名的な「スタッフ紹介」ではなく、「この人に任せたい」と思ってもらえるような顔出し・ストーリー重視の構成です。
さらに、ターゲットを明確にして、「誰のためのジムなのか?」「ここに来るとどうなれるのか?」を冒頭でしっかり伝えます。
これにより、価格や設備だけでは判断しない価値を重視するお客様が自然と集まってきます。
ホームページを見ていただければわかりますが、価格はページの一番下に掲載しています。
理由はシンプルで、僕は価格ではなく“結果”で選ばれたいからです。キャンペーンも行っていませんので、最後の最後にそっと記載しています。
ホームページ掲載内容のポイント
この配置には意図があります。価格や割引を先に見せると、それだけで「安いか、高いか」という比較モードに入ってしまい、本来伝えたい価値が霞んでしまうからです。
逆に、価値を先に理解してもらったうえで価格を見せると、「この内容なら、この価格は妥当だ」と感じてもらいやすくなります。
誤解を防ぐための仕組みづくり

ホームページでの集客で誤解や質問を減らすためには、最初から明確に伝えることが大切です。
- よくある質問(Q&A)ページを作る
- 誤解されやすい点を予防線として明記する
- サービス説明に短い動画を活用する
Q&Aはシンプルですが注目度が高く、見込み客の不安を和らげます。どこでもフィットでは、体験レッスンに来られたお客さんのリアルな質問をQ&Aにしています。
さらにQ&Aの回答において、詳細な記事や動画をリンクすれば、理解度は一気に高まります。
また最近は「これで1カ月で5kg減!」といった過激なSNS投稿も目にします。確かに話題にはなりますが、対面指導のトレーナーは信頼を第一に考えるほうが長期的には有利です。
まとめ ― 集客は「何を伝えるか」で決まる

ジム集客で大切なのは、「価格なのか」「専門性の高さなのか」など、何を最優先で伝えるのかを明確にすることです。そして、その魅力を相手の記憶に刻むためには、最初の3秒で印象をつかむことが欠かせません。
そのため、競合のホームページを多く見て、「ここは他にはない強みかな」と、自店の強みや差別化ポイントが見つけてみましょう。
さらに、見込み客に誤解されない広告や情報発信は、短期的な反応だけでなく、長期的な信頼とリピートを生む大きな資産になるでしょう。
この機会に自店のホームページやチラシを顧客視点で見直してみませんか?
もし、この記事でのポイントである「ホームページや広告の見せ方」がよく分からないと思われましたら、小林素明のジム経営・集客のマンツーマン相談をご活用ください。
あなたのジムの価値を最大限に引き出し、長く選ばれる集客の仕組みづくりをサポートします。
この記事を書いた人


小林素明 (パーソナルトレーナー)
テレビ番組「ちちんぷいぷい」「大阪ほんわかテレビ」「ten」などに多数出演し、メディアからも注目されるパーソナルトレーナー。30年以上の指導経験と健康運動指導士の資格を有し、1万レッスンを超えるパーソナルトレーニング指導の実績。特に40代からシニア世代向けの「加齢に負けない」トレーニングに定評があり、親切で丁寧な指導が評価されている。
医療機関との連携を通じて、安全で効果的なトレーニング法を研究し、病院や企業での腰痛予防に関する講演では受講者の98%から「分かりやすかった」と高評価を得る。また、パーソナルトレーナー養成講座の講師としても豊富な実績を誇り、多くのトレーナーの育成に貢献しています。