運動指導で差が出る理由|定番エクササイズでも評価が変わる

パーソナルトレーナーの小林素明です。
運動指導の現場で、 「説明はしているのに、お客さんの反応が薄い」 そう感じることはないでしょうか。
どこを見直せばいいのか、判断に迷うこともあります。
しかし、誰もが知る定番のエクササイズでも、 評価に差が出ることがあります。
手応えが残る指導と、そうでない指導がある。 この違いは、どこから生まれるのか。 最近、その点を改めて考える機会がありました。
この話は、新しい運動方法の紹介ではありません。同じエクササイズであっても、指導の組み立て方で反応が変わる、というお話です。
このような方におすすめしたい内容です
- 運動指導の中で、知識が足りないのかと考えてしまうことがある方
- 指導の進め方や伝え方に、どこかズレがあるのではと感じる方
- 指導経験を重ねれば解決するのか、判断がつかず立ち止まることがある方
受講後アンケートで気づかされたこと

先日、ある企業さんで疲労回復法の講師を務めました。内容は、オフィスでできるストレッチが中心です。
講座終了後、正直なところ反省点ばかりが浮かびました。
「もう少し工夫できたかもしれない」そんなことを考えながら、講演後に近くのカフェでひとり振り返っていました。
ところが、受講後アンケートを読むと印象が変わりました。好意的な意見が多く寄せられていたのです。
中でも、印象に残った声があります。
「よく知られているストレッチでしたが、やり方を正しくしないと効果が出ないことが分かって良かったです。」
この一文に、今回の評価の理由が集約されていると感じました。
定番ストレッチでも、体は変わる
他にも、
「呼吸が楽になった」
「体が暖かくなった」
「首まわりが軽くなった」
といった感想がありました。
行ったのは、特別な方法ではありません。どこにでもある、見慣れた定番のストレッチ法です。
それでも変化を感じてもらえた理由は、「やったかどうか」ではなく、「どうやったか」を受講者の方と共有できたからだと考えています。
なぜ、定番のエクササイズを選ぶのか

僕のレッスン指導では、定番のエクササイズを多く使います。理由はいくつかあります。
- シンプルな動き(やりやすさ優先)
- 安全性が高い
- 強度の調整がしやすい
- 応用の幅が広い
- レッスン外でも実施してもらいやすい
これらは、現場で使い続けるうえで重要な条件です。
特にレッスン指導以外の自宅や職場で行なってもらう価値は高いです。受講者の方の運動効果を持続させることができる。
また、パーソナルトレーナー小林素明を覚えてもらえるきっかけとなり、リピーター獲得にも繋がります。
ポイントは、種目の数を増やすことではありません。
同じエクササイズでも、「強度を変える」「目的を変える」「見るポイントを変える」など、その引き出しを、どれだけ持っているかです。
体の変化を、先に確認する

今回の講座では、ストレッチの前に体の状態チェックを行いました。
肩と腰の柔軟性(疲労度)を確認しました。終業後の時間帯で多くの方が、疲労を感じている状態と考えましたので、特に有効です。
ここを飛ばさないことが重要です。
いきなりストレッチを行っても、変化は分かりにくくなります。
ストレッチの前後(ビフォーアフター)で、
「どこが動かしやすくなったか」
「どこが軽く感じるか」
を、自分の感覚で確認してもらいます。
この一手間で、運動に対する受け取り方が変わります。
一つのストレッチを、どこまで見るか

今回、時間をかけて指導したのが、股関節を伸ばす肩入れストレッチです。
講演では、わかりやすく「イチローストレッチ」と呼んでいます。イチロー選手が、守備の合間によく行っていた動きとして知られています。
このストレッチを、正しく行えている人は多くありません。トレーナーであっても、例外ではありません。
確認するポイントは、
- 脚が十分に開いているか(開脚)
- 膝の内側に手を添えているか
- 腰を落とし、背中が伸びているか
- 体をひねり、手根で膝の内側を押せているか
- 指先が膝に乗っていないか
- 肩が前に出ているか
- 肩甲骨が内側に寄っているか
これを一つずつ確認します。すると、1種目の指導でも数分は必要になります。
丁寧に説明をしていくと、「このストレッチはよく効きますね」「知らずにやっていました。」「やっぱり教えてもらわないと分かりませんね。」と感想をいただくことが多いです。
トレーナーとしての存在価値は、ここにあると感じています。
「知っている」と「できている」の差
最初にこのストレッチを紹介したとき、
多くの方が「知っている」という反応でした。
しかし、実際に動いてもらうと違います。
- 脚の開きが足りない
- 膝の内側をつかんでいる
- 首だけが横を向いている
- 背中が丸くなっている
- 肘が曲がっている
こうした動きが、よく見られますし、効果が出にくいやり方。
エラーを見逃さず、その場で修正できるか。ここが、指導の質に直結します。
解剖学を知っていても、ズレは起こる
専門学校で鍼灸学科の先生をしている友人がいます。人体解剖学実習で知り合いました。
その友人が、こんな話をしてくれました。
「解剖学で知っている筋肉の位置と、実際に体を触って確認したときの位置が違っていた」
知識があっても、現場ではズレが生じる。これは、誰にでも起こります。
ストレッチや筋トレでも同じです。
理解していることと、実際にできていることは、別の話です。
現場で求められるのは、基本の確認
現在、コンタクトスポーツの選手を指導しています。テーマは、パフォーマンス向上と怪我の予防です。
行っているのは、特別な方法ではありません。
基礎的な考え方に基づいた指導です。
あるとき、肩まわりの不安定さが気になりました。
試合直前に、肩のインナーマッスルを刺激するチューブトレーニングを行ってもらいました。その結果、動きが良かったと報告を受けました。
基本を、正確に。それだけの話です。
おわりに
運動指導の現場では、動作を細かく見直す必要性を感じることがよくあります。
- 狙った関節が動いているか
- 余計な動きが出ていないか
- 目線は適切か
- 静止時間や回数は合っているか
こうした点を、落ち着いて確認できるかどうか。その積み重ねが、評価として表れやすいと感じています。
定番の動きだからこそ、見直す余地は多く残っています。
実際の指導現場では、柔軟性を「何となく見る」だけでは判断が難しい場面もあります。
どこが動いていて、どこが動いていないのか。その確認方法を整理しておくと、指導の精度は安定します。
ストレッチ指導前の柔軟性のチェック方法を、現場で使いやすい形でまとめた講座もあります。内容を知りたい方は、こちらをご覧ください。
この記事を書いた人


小林素明 (パーソナルトレーナー)
テレビ番組「ちちんぷいぷい」「大阪ほんわかテレビ」「ten」などに多数出演し、メディアからも注目されるパーソナルトレーナー。30年以上の指導経験と健康運動指導士の資格を有し、1万レッスンを超えるパーソナルトレーニング指導の実績。特に40代からシニア世代向けの「加齢に負けない」トレーニングに定評があり、親切で丁寧な指導が評価されている。
医療機関との連携を通じて、安全で効果的なトレーニング法を研究し、病院や企業での腰痛予防に関する講演では受講者の98%から「分かりやすかった」と高評価を得る。また、パーソナルトレーナー養成講座の講師としても豊富な実績を誇り、多くのトレーナーの育成に貢献しています。
