徳島で出会った指導者に学んだ、成果を出し続けるパーソナルトレーナーの共通点

パーソナルトレーナーの小林素明です。
昨日は、徳島で開催されたマラソン大会にゲストとして参加しました。大会後の懇親会で、思いがけず深い話になった方がいます。
地元の市議会議員でありながら、アスリートのパーソナルトレーニングも行っている指導者です。これまでに、複数の高校生をインターハイへ導いてきた実績があります。
トレーニング動画も見せていただきました。
ボックスジャンプを繰り返す、プライオメトリクストレーニング。フォームが安定しており、動きに無駄がありませんでした。
指導の出発点は、イチロー選手も取り入れている「初動負荷」の考え方。そこから専門書を読み込み、現場で検証を重ねてきたそうです。
今では、選手の動きを見て伸びしろを判断し、「この選手はインターハイで上位を狙える」そんな見通しまで立てられると話していました。
専門的な理論より、大切にしていること

ぼくは率直に質問しました。
「一番大切にしていることは何ですか?」
返ってきた答えは、とてもシンプルでした。
「選手の気持ちに寄り添うこと。理論を押し付けないことです。」
そして、実際の指導は次の順序で進めているそうです。
- 選手の良い点を正確に見つけ、言葉にして伝える
- 目標に対して、何が足りないかを選手自身に話してもらう
- 必要な体力要素や基礎トレーニングを提案する
- 選手が本当に興味を持った段階で、トレーニングを始める
軸にあるのは、選手の主体性です。
トレーニング中に小さな変化が見えたら、そこを丁寧に言葉にして褒める。この積み重ねが、選手自身に「前に進んでいる感覚」を生みます。
結果として、成長のスピードが加速していく。理屈ではなく、現場で磨かれた指導だと感じました。
選手がトレーニングを教えてくれるようになる
さらに印象的だった話があります。
指導を続けていくと、選手の方から提案が出てくるようになるそうです。
- 「この動きをすると、力が入りやすい気がします」
- 「やり方は合っていますか?」
- 「この方法の方がやりやすいです。」
こうした“気づき”から生まれた動きは、理にかなっていることが多く、実際にメニューとして採用するケースも少なくないとのことでした。
パーソナルトレーナーは、複数のクライアントを同時に指導します。すべてのメニューを、自分の体で検証し続けるのは現実的ではありません。
だからこそ、日々トレーニングを行っている選手が、現場での発見を持ち帰ってくれることには大きな価値があります。
選手にとっても、自分の提案が採用されるのは大きな喜びです。会社で言えば、現場発の企画がそのまま採用されたような感覚でしょう。
パーソナルトレーナーを目指す人、ジム運営者の方へ

この話を聞いて、強く感じたことがあります。成果を出し続ける指導者に共通しているのは、知識の多さではありません。
- 相手をよく観察している
- 話をよく聞いている
- 主体性を引き出している
この土台があるからこそ、理論や技術が「生きた指導」になります。
これは、競技スポーツだけの話ではありません。一般のクライアントを指導するパーソナルトレーナーにも、スタッフを育てるジム運営者にも、そのまま当てはまります。
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成果を出し続ける現場で、必ず起きていること

ボクのパーソナルジムに通われているお客さんを見ていて、はっきり分かる共通点があります。
それは、主体性を持ってレッスンに向き合っているかどうかです。
主体性を持っている方ほど、レッスンは長く続きます。そして、成果も安定して積み上がっていきます。
レッスン中には、こんな質問が自然に出てきます。
- 今のトレーニングは、どこを鍛えていますか?
- 歩数が1万歩を超えても、腰が痛くなくなりました。これは運動の成果ですか?
- このトレーニングは、お尻に効いていて問題ないですか?
- この動きをすると膝が楽になります。なぜですか?
- 翌日に太ももの前が筋肉痛になりました。やり方は合っていますか?
どれも、特別な質問ではありません。ですが、受け身では出てこない質問です。
これらの言葉が出るということは、お客さん自身が「自分の体で何が起きているのか」を感じ取り、理解しようとしている証です。
ボクは、このやり取りこそが、トレーニング指導における最も重要なコミュニケーションだと考えています。
もちろん、日常の雑談も大切です。信頼関係をつくるうえで欠かせません。
ただ、それ以上に大切なのは、
「体を良くしたい」「変えたい」という気持ちを、言葉として引き出し、後押しすることです。
このプロセスを通じて、お客さんはトレーニングの知識を少しずつ身につけます。同時に、運動の価値を体感として理解していきます。
結果として、
「ここで続けたい」
「この人に見てもらいたい」
そう感じてもらえるジムになります。
主体性が育つ現場では、価格ではなく、信頼で選ばれる関係が生まれます。それが、長期的に支持されるパーソナルジムの土台になります。
まとめ|現場で結果を出す人が、必ず大切にしている視点

今回、徳島でお会いした市議会議員の方は、議員としての仕事を持ちながら、数多くの高校生をインターハイへ導いてきた指導者でした。
専門的な理論も、豊富な経験もお持ちです。それでも、最も大切にしているのは、「理論を語ること」ではありませんでした。
選手をよく観察すること。
話を丁寧に聞くこと。
そして、選手自身が考え、動き出すのを待つこと。
この姿勢があるからこそ、初動負荷理論やプライオメトリックトレーニングも、単なる方法論ではなく、成果につながる指導になっていました。
競技スポーツでも、一般のパーソナルトレーニングでも、人を相手にする以上、根っこは変わりません。
「教える」よりも「引き出す」。
「与える」よりも「一緒に考える」。
徳島での出会いは、ボク自身の指導をあらためて整える機会になりました。
成果は、知識の量では決まりません。現場でどう向き合っているか。そこにこそ、指導者としての価値が表れることを学びました。
こうした現場での考え方や向き合い方は、小林素明が直接指導している「パーソナルトレーナー指導者養成講座」でも大切にしている軸です。
知識だけで終わらない、現場で使える指導力を身につけたい方は、こちらをご覧ください。
この記事を書いた人


小林素明 (パーソナルトレーナー)
テレビ番組「ちちんぷいぷい」「大阪ほんわかテレビ」「ten」などに多数出演し、メディアからも注目されるパーソナルトレーナー。30年以上の指導経験と健康運動指導士の資格を有し、1万レッスンを超えるパーソナルトレーニング指導の実績。特に40代からシニア世代向けの「加齢に負けない」トレーニングに定評があり、親切で丁寧な指導が評価されている。
医療機関との連携を通じて、安全で効果的なトレーニング法を研究し、病院や企業での腰痛予防に関する講演では受講者の98%から「分かりやすかった」と高評価を得る。また、パーソナルトレーナー養成講座の講師としても豊富な実績を誇り、多くのトレーナーの育成に貢献しています。
