自宅から徒歩3分のジムを辞めた理由 続けられなかった背景にあったもの

パーソナルトレーナーの小林素明です。
ジムを辞める理由は、立地や料金だけではありません。
むしろ、条件が良いジムほど、気づかれない理由で辞められていることもあります。ジムを退会した女性の取材記事を読み、僕自身も他人事ではないと感じました。
こんな方におすすめしたい記事です
- 最近、退会が増えてきた気がしている方
- 「通いやすさ」以外に何が必要か考えている方
- お客さんにとって、もっと続けやすいジム環境を作りたい方
自宅から徒歩3分、通いやすいはずのジムを退会

記事に登場するのは大手のフィットネスジムを退会した、30代の女性です。ジムは自宅から徒歩3分。通いやすさは十分です。
月会費は約1万円。パーソナルトレーニングは月3万円。合計で月4万円ほどです。パーソナルは、仕事ができる女性の間では定番になりつつあります。
月額4万円の出費は、健康への投資として前向きだったようです。
ところが、状況が変わります。仕事が忙しくなります。体調を崩す日も出てきました。
そのため当日に、パーソナルトレーニングをキャンセルすることが、何度かあったそうです。
トレーナー側から見ると、当日キャンセルは正直つらいです。これは、現場に立つ人なら分かると思います。
ただ彼女は、別のプレッシャーを感じていました。
「またキャンセルしたと思われているのではないか」
「やる気がないと思われているのではないか」
その気持ちが、少しずつ重くなり、ジムを退会しました。
今はどうしているか。
散歩をして、YouTubeを見ながらストレッチをしているそうです。その方が、今の生活には合っていると話しています。
パーソナルトレーニングが負担になる瞬間

僕自身も、日々の仕事で常に気になっています。それはパーソナルトレーニングが、お客さんにとって負担になっていないかという点です。
もちろん、そうならない工夫はしています。ただ、定期的に通う大変さは、想像以上です。
小さなお子さんがいるお客さんの場合、自分の都合だけでは動けません。
仕事の急な予定変更もあります。飼っているペットを、病院に連れて行く必要が出ることもあります。
だから僕は、できるだけプレッシャーを与えないようにしています。
「皆さん、それぞれ事情がありますから」
「何かあれば、電話やLINEで大丈夫ですよ」
お客さんには最初に、そう伝えます。
それでも、人間関係の影響は大きいです。トレーナーとお客さんの関係性で、感じ方は変わります。
ただし、キャンセルが何度も続く。連絡もなく、当然のように扱われる。この場合は、商売として成立しません。
ここは、別の対応が必要になります。
なぜ「継続」がこれほど重要なのか
一般的に、新規顧客の獲得には、既存顧客の5倍以上のコストがかかると言われています。
広告費。体験対応。説明の時間。どれも、継続しているお客さんには不要なものです。
さらに今、ジムの数は大小合わせると確実に増えています。
選択肢が多い時代です。条件が良いだけでは、選ばれ続けることは困難です。
だからこそ、「継続してもらうこと」ここが、ジム経営の要になります。
生活の中にトレーニングを組み込んでもらうために

時間を空けるには、お客さん自身の時間管理が必要です。同時に、トレーナー側の工夫も欠かせません。
僕が意識していることがあります。
それは、聞き役に徹することです。
トレーニングの時間は、体を動かす時間です。同時に、話をする時間でもあります。
仕事のこと。
家庭のこと。
体の不安。
すべてに答えを出す必要はありません。まずは、聞くこと。それだけで、表情が変わる方もいます。
もう一つ、大切にしていることがあります。
「なぜ、このトレーニングが必要なのか」これを、定期的に伝えることです。負荷やトレーニング頻度の話だけではありません。体がどう変わるのか。なぜ今、それを行うのか。
理由が分かると、トレーニングは「作業」ではなくなります。
ジム内に掲示している月間ニュースレター

その延長として、当ジム(パーソナルトレーニングどこでもフィット)内に月間のニュースレターを掲示しています。内容は、トレーニングや体の話だけではありません。
近隣のお店の情報。外食で気づいたこと。旅先で感じた体の変化。と、少しだけ、僕自身のことも書いています。
知識だけでは、人は通い続けません。
この場所に来ると、少し気持ちが軽くなる。何かを思い出せる。そう感じてもらえることが、継続につながると考えています。
このニュースレターは、お客さんの悩みに近いものを特集記事にしています。
過去のニュースレターの特集記事の見出し 一例
- 「40代以上の方にとって身近な悩み 四十肩・五十肩とは?」
- 「熱中症から自分を守る!今こそ見直したい基本習慣」
- 「プロテインは本当に必要?50代からの筋肉づくりと栄養の話」
- 「運動を続けることの重要性を知っていますか?」
- 「なぜ腰痛に?日常生活でできる腰を守る方法」
- 「足元の安定感を手に入れる!日常とスポーツのための足首トレーニング」
- 「なぜ速歩きは寿命を延ばすのか?プロ推薦の歩行プログラム」
商売の本質は変わらない

僕のパーソナルジムが入っているビルの1階には、カラオケ喫茶があります。女性オーナーさんが、一人でお店を切り盛りしています。
入店時は、表情が暗いお客さんもいます。それが帰る時には、「ママ、ありがとう。また来るわ」と、笑顔になっている光景を見ることがあります。
同じ人とは思えないほどです。
カラオケで発散している面もあるでしょう。ただ、それ以上に、話を聞いてもらえた満足感が大きいのだと思います。
そのオーナーさんは、とにかく聞き上手です。
パーソナルトレーニングと職種は違いますが、商売の本質は同じです。
まず、好かれること。そこから、継続が始まります。
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まとめ

ジムを辞める理由は、料金や通いやすさだけで決まるものではありません。
「通えなかった自分」を気にしてしまう。
「迷惑をかけているのでは」と感じてしまう。
そうした気持ちが積み重なると、ジムから足が遠のいてしまうことがあります。
運動そのものが嫌になったわけではなく、環境や人との関係性が合わなくなっただけ。そういうケースは、決して少なくありません。
続けるために必要なのは、完璧さではなく、無理のない関わり方なのだと感じる記事でした。
この記事を書いた人


小林素明 (パーソナルトレーナー)
テレビ番組「ちちんぷいぷい」「大阪ほんわかテレビ」「ten」などに多数出演し、メディアからも注目されるパーソナルトレーナー。30年以上の指導経験と健康運動指導士の資格を有し、1万レッスンを超えるパーソナルトレーニング指導の実績。特に40代からシニア世代向けの「加齢に負けない」トレーニングに定評があり、親切で丁寧な指導が評価されている。
医療機関との連携を通じて、安全で効果的なトレーニング法を研究し、病院や企業での腰痛予防に関する講演では受講者の98%から「分かりやすかった」と高評価を得る。また、パーソナルトレーナー養成講座の講師としても豊富な実績を誇り、多くのトレーナーの育成に貢献しています。
