ペアストレッチは「気持ちいいだけ」ではない。パーソナルトレーナーの個別指導を変える3つのメリット

パーソナルトレーナーの小林素明です。
パーソナルトレーナーにとって、ペアストレッチはどんな存在でしょうか?
- トレーニングの最後に行うサービス。
- お客様に喜んでもらうためのリラクゼーション。
そんなふうに考えているなら、少しもったいないと思います。
僕は、ペアストレッチを30年以上のトレーナー経験の中で続けてきました。
そして今では、ペアストレッチは単なる「体のケア」ではなく、お客様一人ひとりに合わせた個別指導を行うために欠かせないものになっています。
なぜなら、ペアストレッチをすると、お客様の体の状態がよく見えてくるからです。
- 右と左で硬さが違う。
- 股関節は動くのに、ハムストリングスは硬い。
- 以前より肩まわりが柔らかくなっている。
- こうした情報は、その後のトレーニングメニューを考えるうえで、とても重要です。
今回は、パーソナルトレーナーがペアストレッチを取り入れるメリットについて、僕自身の現場経験をもとにお話しします。
ペアストレッチは「おまけ」ではない

僕が運営する「どこでもフィット」のパーソナルレッスンは50分間です。そのうち約10分間は、ペアストレッチを行っています。
すると、お客様からよくこんなことを言われます。
「この時間が気持ちいいんですわ〜」
これは単純にうれしいですよね。
でも、僕がペアストレッチを続けている理由は、それだけではありません。むしろ重要なのは、気持ちよさの先にあるものです。
ペアストレッチをしていると、お客様の体の状態が見えてきます。
そして、その情報を次のトレーニングに活かすことができます。
つまり、
トレーニングをする → 体の状態を見る → 体を整える → 次のトレーニングを考える
この流れを作ることができます。
これが、ペアストレッチを個別指導に取り入れる大きなメリットです。
メリット1 お客様に「気持ちいい」という価値を提供できる

まず、ペアストレッチには分かりやすいメリットがあります。
自分ではできないストレッチを、トレーナーにやってもらえることです。
セルフストレッチは、どうしても力が入ります。
「もっと伸ばしたほうがいいかな?」
「この姿勢で合っているかな?」
そんなことを考えてしまいます。
ペアストレッチなら、お客様は体を預けるだけです。
トレーナーが柔軟性を確認しながら、無理のない範囲で関節を動かしていく。お客様にとっては、体を動かした後にリラックスできる時間になります。
実際、僕のジムでは、
「病院やマッサージに通うことがなくなりました」
という声をいただくことがよくあります。
トレーニングができて、体のケアもできる。お客様からすると、大きなメリットです。
ただし、ここで終わってしまうと、ペアストレッチの価値を十分に活かせていません。
メリット2 ペアストレッチをすると「体の課題」が見えてくる

僕がペアストレッチを重要視している一番の理由は、ここです。
ペアストレッチをすると、お客様の体の特徴が見えてきます。
例えば、
- 右より左の股関節が硬い。
- 肩の動きに左右差がある。
- 全体的に柔軟性は高いけれど、ハムストリングスだけが硬い。
- 足首の動きが悪い。
こうしたことは、会話だけでは分かりません。
実際にペアストレッチで関節を動かしてみるからこそ分かることがあります。
そして、見つかった課題をお客様に伝えます。
- 「右より左の股関節が少し硬いですね」
- 「肩まわりは以前より柔らかくなっていますよ」
- 「ハムストリングスが少し硬いので、ここはケアしていきましょう」
こうやって伝えると、お客様自身も自分の体に興味を持つようになります。
「そうなんですね」「自分では気づきませんでした」「家でもストレッチしたほうがいいですか?」 そんな会話が生まれます。
僕は、こうした会話もトレーナーの仕事だと思っています。
メリット3 個別のトレーニングメニューの精度が上がる

そして、ここがトレーナーにとって一番重要なところです。ペアストレッチで分かったことを、次のトレーニングに活かします。
例えば、左の股関節が硬かったとします。
- なぜ硬いのか?
- どの動きで制限が出るのか?
- トレーニングでは何に注意するのか?
- 自宅では何をしてもらうのか?
こうしたことを考えます。
単に「股関節が硬いからストレッチしましょう」ではありません。
お客様の体を見て、必要なことを考える。これが個別指導です。
パーソナルトレーニングでは、全員に同じメニューを行う必要はありません。むしろ、同じメニューになってしまうことのほうが問題です。
年齢や体力、柔軟性、過去の運動経験、既往歴、痛み、違和感も違う。だから、トレーニングメニューも千差万別であって当然なのです。
ペアストレッチは、その「違い」を見つけるための一つの方法になります。
お客様が求めているのは「トレーニング」だけではない

ここは、パーソナルトレーナーとして一度考えてみてほしいところです。
お客様は、本当にトレーニングだけを求めているでしょうか?
- 筋肉をつけたい
- 痩せたい
- 体力をつけたい
もちろん、それもあります。
でも、
- 体を軽くしたい
- 肩や腰まわりを楽にしたい
- 自分の体の状態を知りたい
- 自分ではできないことをしてほしい
というニーズもあります。
実際に、街中にはストレッチ店が増えています。若年層の方も多く通われている様子が伺われます。
また、僕のところでも、膝に違和感のあるお客様から、
「最後にやってもらっているケアだけの別メニューはできませんか?」
と相談を受け、トレーニングとは別に「膝のケアコース」を月2回ほど行っています。
これは、僕が特別なサービスを無理に作ったわけではありません。お客様の声を聞いているうちに、必要になったサービスです。
ここが大切だと思っています。
トレーナーが「これを売ろう」と考えるのではなく、お客様が何を求めているのかを見る。そこからサービスを考える。
この順番です。
ペアストレッチのスキルを高めたい方へ

ペアストレッチは、技術を身につければ、それだけで終わるものではありません。
- 体を見る力がつきます。
- お客様との会話が増えます。
- 個別のトレーニングメニューに説得力を増すことができます。
- お客様から「自分の体を分かってくれている」と思ってもらえるようになる。
僕は、これがペアストレッチの本当の価値だと思っています。
トレーニングができる。体を整えることができる。
そして、お客様の体の変化にも気づける。
そんなトレーナーになれば、指導の幅は確実に広がります。
もしペアストレッチの技術をもっと高めたい方は、こちらの講座も参考にしてください。
ペアストレッチを「気持ちいいサービス」で終わらせず、「お客様の体を知るための指導技術」として身につけてみてください。
この記事を書いた人


小林素明 (お城好きフィットネストレーナー)
指導歴30年以上。テレビ番組「ちちんぷいぷい」「大阪ほんわかテレビ」「ten.」などに出演し、専門的な内容をわかりやすく伝える解説に定評があるフィットネストレーナー。
健康運動指導士、マッスルコンディショナー、介護予防運動トレーナーの資格を持つ。
2010年に大阪市でパーソナルフィットネスジム「どこでもフィット」を開業。これまでに延べ1万回以上のパーソナルトレーニングを実施し、特に50代以上の「加齢に負けない体づくり」を得意としている。
また、医療機関と連携した安全性の高い運動指導に加え、企業や自治体からの依頼を受け、腰痛予防や健康づくりをテーマにした講演を数多く行っている。
趣味は城めぐり、鉄道とグルメの旅、スポーツ観戦、80〜90年代のプロレス、書店めぐり、そして焼肉。
「運動は頑張るものではなく、続けられることが大切」という思いで、一人ひとりに寄り添った指導を続けている。
著書:『50代からの体を整える 自宅でできるトレーニング』 ▶ Amazonで見る
