パーソナルジムの成約率を上げる接客術 問い合わせが申込みにつながる信頼づくりの方法

パーソナルトレーナーの小林素明です。
パーソナルトレーニングの仕事をしていると、「問い合わせの対応が難しい」と感じる場面が多くあります。料金の不安、空き時間の確認、続けられるかどうか、目的の整理など、相談内容は人によって異なります。
問い合わせは、申し込みではありません。しかし、対応次第で「申し込み」に変わる大切な入り口です。
先日も、6年ぶりに戻ってこられたお客さんがいました。この実例を交えながら、問い合わせ対応の考え方を整理していきます。
この記事では次の3つのことが分かります。
- 問い合わせの背景が理解しやすくなる
- 対応が申し込みにつながる流れを作りやすくなる
- 実例をもとに、現場で使えるポイントがわかる
6年ぶりに戻ってきたお客さん
ある日、LINEにメッセージが届きました。
「またレッスンを受講したいです。空いている時間帯はありますか?」
コロナ禍で離れていましたが、僕のジムでレッスン再開です。
実は、この方から3ヶ月前にも問い合わせがありました。そのときは、会費と空き時間の確認だけで、申し込みには進みませんでした。
今回のケースでは、
問い合わせ → 3ヶ月の空白 → 予約
という流れです。
このように、よく知る方であっても、問い合わせから申し込みまでに時間がかかることは珍しくありません。
問い合わせは“興味”ではなく“情報収集”

問い合わせを受けると、「もう申し込みそうだ」と感じることがあります。しかし、実際にはそうではない場合が多いです。
問い合わせをする人は、次のような状態です。
- 自分に合うかどうかを知りたい
- 不安を解消したい
- 他社と比較したい
- 今すぐ始めるか、後にするか迷っている
つまり、問い合わせは 情報収集中の段階 です。すぐ申し込むとは限りません。
料金が高いほど検討は丁寧になります。家や車ほどではなくても、「誰に任せるか」「今、受講するべきか」という判断には慎重になります。
問い合わせを受けたときは、“まだ検討段階だ” と捉えるだけで、接し方が変わってきます。
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問い合わせ対応で大切にしていること
問い合わせでは、回答だけで終わると次につながりません。僕が重視しているのは ヒアリング です。
電話や対面で話せる場合は、次のように尋ねます。
「【 運動を本格的に始める場所を探されている 】とのことですが、何かきっかけがあったのですか?」
【〇〇】には問い合わせ内容が入ります。
腰痛、体力低下、体重の増加、生活習慣の改善など、すべてに対応できます。
なぜヒアリングが必要なのか?

多くの人は、自分が“なぜ始めたいのか”を整理できていません。
例を挙げると、
- 体力の衰えを感じた
- 健康診断の結果が気になった
- 運動不足が続いている
- 姿勢の変化が気になってきた
こうした背景がわかると、最適な提案ができます。
「下半身の筋力が落ちると、歩行や姿勢の安定が弱くなります。そのため、まずは下半身の筋肉を鍛える方法が良いと思います。」
「胸周りの筋肉が硬くなると、肩が内側に寄りやすくなり、呼吸も浅くなります。このような状態では、いきなり負荷をかけるより、ストレッチから始めるのが最適でしょう。」
ヒアリングはお客さん自身が目的を整理する時間にもなります。安心感が生まれ、次の行動につながります。
問い合わせは“信頼の入り口”
問い合わせは、申込みを急がせる場面ではありません。信頼関係を築く最初の接点です。
丁寧に理由を聞き、必要な情報だけをわかりやすく伝える。それだけで、「この人なら大丈夫だ」と感じてもらえます。
今回、6年ぶりに戻ってきたお客さんも、3ヶ月前の問い合わせのときに「丁寧で安心できた」と話していました。
問い合わせ段階では、サービスの細かな説明よりも、“このトレーナーに任せて大丈夫かどうか”が判断の基準になります。
だからこそ、焦らせず、誠実に対応することが大切です。
問い合わせから申込みにつなげる3つの流れ

僕が実践している流れは、次の3つです。
1 目的を確認する
ヒアリングで、目的を明確にする。
目的がはっきりすると、提案が合いやすくなる。
2 必要な情報だけを短く伝える
料金・受講システム・予約の流れだけで十分。
情報が多いと、迷いが増える。
3 急かさず、安心してもらう
焦らせないことで、信頼が蓄積する。
信頼は最終的に申し込みにつながる。
この3つがそろうと、問い合わせからの申込み率が上がりやすくなります。
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まとめ

問い合わせは、申込みではありません。しかし、申込みにつながる準備をする場 です。
丁寧に話を聞き、必要な情報だけを伝え、焦らせずに見守る。
この積み重ねが、3ヶ月後、半年後、あるいは数年後の申込みにつながることがあります。
長い目で見ると、問い合わせへの向き合い方が、ジム運営の安定にも関わってきます。信頼を育てることが、結果的にお客さんを増やす力になります。
この記事を書いた人


小林素明 (パーソナルトレーナー)
テレビ番組「ちちんぷいぷい」「大阪ほんわかテレビ」「ten」などに多数出演し、メディアからも注目されるパーソナルトレーナー。30年以上の指導経験と健康運動指導士の資格を有し、1万レッスンを超えるパーソナルトレーニング指導の実績。特に40代からシニア世代向けの「加齢に負けない」トレーニングに定評があり、親切で丁寧な指導が評価されている。
医療機関との連携を通じて、安全で効果的なトレーニング法を研究し、病院や企業での腰痛予防に関する講演では受講者の98%から「分かりやすかった」と高評価を得る。また、パーソナルトレーナー養成講座の講師としても豊富な実績を誇り、多くのトレーナーの育成に貢献しています。
